「うわぁぁぁぁぁっっ!!」

ザナラーンの荒野を走る、背丈が少し違う、2人組のララフェル。
全力で疾走する2人の背後には、3匹の巨大な蟻たちが迫って来ている。
まだ、距離に余裕はあるものの、気を抜けばあっという間に追いつかれ、エサとなってしまうことは明白だった。

「レベル上げの締めくくりだからって、冒険しようなんていうから、こんな事になるんだ!」
「ほんのちょっと強そうなのを相手にしようとしただけだろ!岩陰にさらに2匹隠れてるなんて、誰が予想出来るか!?」
「威張るなぁ!!」

逆ギレする長身のララフェルに、なかばヤケ気味にツッコむ、彼より少しだけ背の小さなララフェル。
2人は一目散に、街道に向かってひた走る。
もしかしたら、誰かが通りすがるかもしれない。
一番いいのは、自らのテリトリーを大きく外れた蟻たちが追跡を諦め、自らの巣に帰ることだが、最後の敵に遭遇したのは、アリたちがたむろすと言われていたテリトリーのうち、最も奥深い場所。それは望み薄だった。
こんな時、チョコボホイッスルがあれば… グランドカンパニーに所属しなかったことを、今日ほど後悔した日はない。圧倒的な速度でその追撃を逃れることができるチョコボをいつでも呼び出せる便利な笛は、都市のために闘う兵として、グランドカンパニーに所属することでしか手に入らないのだ。

しかし、後悔しても後の祭り。
とにかく今は、逃げるしかない… そう思っていた矢先。

足元の少しだけ大きな石が、小さなララフェルの足に引っかかった。

「うわっ!?」

叫ぶ暇もあらばこそ。
砂混じりの固い地面と熱いベーゼを交わすララフェルを、黒い影が覆い尽くす。

「しまった!」

長身のララフェルは振り返ろうとするが、たたらを踏んでしまい、反応が遅れてしまう。
その手は遠く、届かない。呪術で対抗しようにも、詠唱時間のうちに、アリたちはその顎で、獲物を食いちぎってしまう…

「だ… 誰かーっ!!」

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